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アニサキス症とは、イカ、サバ、アジ、ハマチ、イワシ、サンマなどを刺身で食べて、アニサキスという寄生虫が胃や腸の粘膜に潜入し、食後2~8時間後に激しい腹痛と悪心、嘔吐が起こる感染症です。
この症例は、前日夕食にサバの刺身を食べて翌朝に強い腹痛があり来院されました。
すぐ胃カメラを行い、胃の中央の胃粘膜に頭部が潜入している寄生虫が見え、その周囲が発赤して炎症を起こしていました。
鉗子で寄生虫をつかんで取り出しました。

胃粘膜に頭部をもぐりこませている
鉗子でつかんだところ

寄生虫は約2.5cmのアニサキスでした。

アニサキス症は、年間約2000人の患者さんがいます。
予防は、生食の場合は新鮮な魚を購入して速やかに内臓を取り除き、また内臓を生では食べないことです。
魚をさばいたときに丸まった虫体が確認できるので、見つけたときは取り除くことも重要です。
塩、ワサビ、酢などで調理しても死にませんが、冷凍や加熱で死にます。加熱は有効で、60度で数秒、70度以上で瞬時に死滅します。
イカ、サバ、アジ、ハマチ、イワシ、サンマを生食したその夜から翌朝にかけて、強い腹痛や嘔気、嘔吐が起こったときは、早急に受診してください。
(山本尚)